『ミドルマーチ』
ジョージ・エリオットの『ミドルマーチ』は92章にわたって展開される物語である。本章は、二か国語のドン・キホーテの引用句で始まり、ブルック家での夕食会の場面へと移行する。ブルック氏がカサボン氏とジェイムズ・チェタム卿を接待する場面である。本章は、知的活動、求愛、そして登場人物それぞれの異なる価値観を、一晩にわたる複数の社会的交流を通じて探求している。カサボン氏の一連の訪問の最初の場面である。CHAPTER IIIと題された本章は、ドロtheaとカサボン氏との知的力学を枠づける『失楽園』の引用句で始まる。本章は、両者の関係の初期段階を描いている。ティプトン・グレインジュへのカサボン氏の最初の長期訪問、彼の大規模な神話学的学問について語るドロセアとの朝の会話、カサボン氏が求婚するつもりであり、彼との結婚が彼女が切望する目的ある知的生涯へのアクセスを許すものだとドロセアが確信していく様子、帰宅後の一人の散歩で二人の共有する未来や彼女のコテージ建設を通じた改革計画に思いを馳せる場面、改革の理念を支持しつつも彼女の冷たさを恋愛感情と誤読するジェイムズ・チェタム卿との出会い、そしてカサボン氏によるその後の再訪問が、ジェイムズ卿の求愛の意図に気づかないままドロセアの称賛をさらに深めていく様子を追っている。第IV章は、二つの競合する求婚の候補に対するドロセア・ブルックの激しく揺れる反応を中心に据えている。馬車での移動中に妹のセリアによって明かされたジェイムズ・チェタム卿からの想定された求愛、そしてティプトン・グレインジュへの帰還後に彼らの叔父ブルック氏を通じて届けられた学者カサボン氏からの正式な結婚提案である。本章は、ジェイムズ卿と結婚するという考えに対するドロセアの苦痛、カサボン氏のパンフレッツに見出す学問的なぐさめによる彼女の安堵、カサボン氏の求婚に対する彼女の即座の熱心な受諾、そして思いがけない姪の恋愛の選択に対するブルック氏の私的な困惑をもって結末を迎える。
第II章。
この章は、二か国語で記されたドン・キホーテの題辞から始まり、ブルック家での夕食会の場面へと移行する。そこではブルック氏がカサボン氏とジェームズ・チェッタム卿を主催者として招いている。この章は、一晩を通じて繰り広げられる数々の社交的なやり取りを通して、知性主義、求愛、そして登場人物たちの異なる価値観といったテーマを探求している。
二言語版『ドン・キホーテ』エピグラフ
本章は、セルバンテスの『ドン・キホーテ』からの一節で始まり、スペイン語と英語の両方で提示されている。この抜粋では、サンチョが輝く兜をありふれた物と間違える一方、ドン・キホーテはそれが伝説のマンブリーノの兜であると主張する場面が描かれている——この瞬間は、認識、理想主義、そして凡俗な現実と英雄的な解釈の間の相違というテーマを凝縮している。
夕食会の冒頭と初期の会話
夕食の場面は、ブルック氏がハンフリー・デイヴィー卿やワーズワースとの会食を懐かしそうに語り出すところから始まる。相変わらず彼の持ち味でもある散漫な饒舌が繰り広げられる。続いてジェームズ・チェタム卿が、自らの農業化学への関心と、小作農の経営を改善したいという志を語る。それに対してブルック氏は「洒落た農業」や科学の実験などを非実用的なものとしてこき下ろし、これにドロテアが応じて、世のため人のために実験に金を投じる意義を擁護する。会話は政治経済学や神学、さらにはブルック氏の文書収集へと話題がめぐりめぐり流れていくが、そのやり取りをカソボン氏はただ静かに観察している。
カサボンの長発言とドロテアの学問的な称賛
カサボン氏は初めて長々と語り、古文書に関する学術研究と、視力が衰えてきたことから夜に読み手が必要であることを述べる。自分の心を古代の亡霊になぞらえ、過去の世界を再現しようとしていると語る。ブルック氏が若い令嬢に書類を触られることへの軽蔑的な態度はドロテアを傷つけるが、カサボン氏は書類の整理を申し出たドロテアを微笑んで认可する。ドロテアはカサボン氏を今まで見た中で最も興味深い人物だと感じ、彼をロックの肖像画にたとえる。彼女はカサボン氏の学術研究を手伝う自分を想像し、そのような崇高な真理の目的のために貢献するという思いに心を昂ぶらせる。
ドロテアとセリアの客間での私的な会話
夕食の後、姉妹たちは客間に引き下がった。そこでセリアは単刀直入にカサボン氏は醜いと言い放った。ドロテアは彼の堂々とした風貌を熱心に擁護し、ロックの肖像画に好意的になぞらえた。セリアが青白い顔色や顔のほくろを指摘すると、ドロテアはより深い資質を重んじることを熱っぽくたとえた。ドロテアはセリアを、外見しか気にかけない動物のようにしか人間を見ないと責め、自分は男の顔の中に偉大な魂を見ると主張した。セリアがカサボン氏にそのような魂があるかと問うと、ドロテアは聖書宇宙論に関する彼のパンフレットを引き合いに出して、そう信じていると肯定した。セリアは心の中で、ドロテアはジェームズ・チェタム卿を嫌っているように見え、姉が家庭的な安楽のためには信仰心が強すぎるのではないかと訝った。
ティーテーブルの場面とジェームズ卿の求愛のアプローチ
お茶の席でジェームズ卿はドロセアへの求愛を続け、馬コリドンを引き取って乗馬反対の決心を撤回するよう説得を試みた。ドロセアは馬をセリアに譲ったほうがよいのではないかと話をそらし、ジェームズ卿が婦人こそは夫に付き添う完璧な馬乗りであるべきだと主張すると、彼女は冷静に、貴方の考える婦人の範疇には当てはまらないと決めたのだと述べた。キャソボン氏が動機について哲学的な所見を挟み、ドロセアは感謝を込めて彼を見つめ、より高き内的生を理解する人物であることの証だと感じた。ドロセアがキャソボン氏に興味を持っているとは知らないジェームズ卿は、彼女の冷淡さを善意に解釈し、関心をセリアに向けた。セリアは愛嬌があってきれいだと思い、上機嫌に、優れた姉妹を選んだのは自分だと自讃した。
CHAPTER III.
第三章と題されたこの章は、『失楽園』からの題辞で始まり、ドロテアとカサボン氏の知的力学を枠組みとして提示する。テクストは、二人の関係の初期段階を跡づける。すなわち、ティプトン・グレインジュへのカサボン氏の最初の長期滞在、ドロセアの神話学に関する壮大な学問を語り明かす彼との朝の会話、彼女が求婚の意図を持っていると確信を深めていく過程、そして彼との結婚が彼女が渇望する目的ある知的生へのアクセスを許すだろうという信念、訪ねた後の彼女の一人での散歩——そこでは二人の共有された未来と、彼女の cottage-building(コテージ建設)的改革計画を思い描く——、改革思想を支持しつつ彼女の冷淡さを恋愛感情と読み誤るサー・ジェイムズ・チェッタムとの出会い、そしてカサボン氏のその後の再訪が、彼女がサー・ジェイムズの恋愛的アプローチに無自覚なままである一方で、ドロセアの敬意をさらに深めていくという展開が描かれている。
冒頭の*Paradise Lost*エピグラフ
この章は、ジョン・ミルトンの『失楽園』第七巻からの引用で始まる。この引用の中で、大天使ラファエルが創造の物語をエヴァに語り、恍惚とした集中と深い瞑想をもってそれに耳を傾けるエヴァの姿が描かれている。この題辞はカサボン氏の役割を知的かつ啓発的な導き手として位置づけるものであり、ドラテアに変革的かつ高尚な知識を共有するであろう彼の役柄を暗示している。これはすなわち、世界を形作る神聖なる真理を伝える者としてのラファエルの役割と並行的である。
ドロシアとカソーボン氏の朝の会話
セリアはカサボン氏の重々しい物腰を避け、地元の牧師館の子どもたちと遊んで過ごす。その間、ドリューサはティプトン・グレンジでカサボン氏と親密な長時間の朝の会話を交わす。カサボン氏は自らの野心的で生涯をかけた学術的計画を明かす。すなわち、世界中のあらゆる神話体系が唯一の原初的な啓示された伝統の堕落にすぎないことを証明するというもので、これには彼の膨大に蓄積された覚書を凝縮された権威ある一巻に統合する作業が必要とされる。ドリューサは完全に心を奪われ、彼を最高の学識と敬虔な信仰心を兼ね備えた現代のアウグスティヌスあるいはボシュエにたとえる。特に、教会の硬直した教義よりも個人的な宗教的経験を優先させるという彼女の異端的な霊的見解にカサボン氏が思慮深く向き合ったとき、彼女は深く心を打たれる。彼は自分の孤独感と、若く明るく陽気な伴侶への願望をそれとなく示唆し、ドリューサの心に結婚の申し込みの種を蒔く。ドリューサはすぐに、彼こそが長らく渴望してきた壮大で目的の持った人生へと自らを導いてくれる導き手であると想像し始める。
カソーボン氏のティプトン・グレンジ訪問
キャソボン氏はドロシアの叔父ブルック氏の招きに応じ、ティプトン・グランジでの夕食と一泊を引き受ける。訪問中、ブルック氏はまず自ら書いた機械打ち壊しと干し草焼き(農場の焼き打ち)に関する論文の退屈で支離滅裂な要点を長々と語らせ、さらに若き日のギリシャ旅行記を聞かせるものだから、キャソボン氏は辛抱強く威厳ある聴衆役を務めざるをえない。やがて二人は屋敷の砂利敷きのテラスをそぞろ歩くが、そこでもキャソボン氏は再び心の伴侶の必要を口にし、若さのある者がそばにいれば熟年の学問的研鑽という重く厳しい労働も和らぐだろうと、あからさまに述べ立てるのである。ドロシアはこれを、キャソボン氏が求婚の意図を持っている明白な合図と受け止め、彼と結婚したいとの願いを一段と強くするのであった。
ドロシアの訪問後の散歩と結婚への思い
翌日午後、カサバン氏がロウィック教区牧師館へと出発した後、ドロテアはセント・バーナード犬のモンクを連れて、公園とそれに隣接する林の中を一人で散歩に出かけ、もはやカサバンと分かち合うものと夢見る未来への幻想に耽る。彼女は彼との結婚の可能性を、自らの階級の女性に向けられた狭く取るに足らない社会的期待から逃れる道筋として描き出す。すなわち、カサバンとの結婚は、最高の知的かつ精神的な知識への途を開き、偉大な思索家たちがなしてきたように真理を見抜く術を学ぶことを許し、刺繍のような些末な女性的な道楽に限なく閉じ込められるのではなく、ロウィックの田舎の労働者たちのために改良された住居を建てることなどを含む意義ある仕事に携わる自由を彼女に与えてくれるのだと、彼女は信じていた。結婚という見込みをほとんど神からの授かりものとして感じかけたまさにその時、小道にジェイムズ・チェタム卿が姿を現し、彼女は思索を阻まれる。
ドロシアとサー・ジェームズ・チェタムの出会い
ドロテアは散歩中に、セリヤの妹に求婚している裕福で愛嬌ある準男爵、ジェームズ・チェッタム卿と出会う。夢想を妨げられたことに苛立ったドロテアは、彼の挨拶に対し高慢な冷たさで応じるが、チェッタム卿はその態度を恋愛感情の表れと早合点してしまう。卿は彼女に小さなマルチーズの子犬を贈り物として差し出すが、ドロテアは原則に基づいてこれを拒絶する。小さく依存心の強いペットは寄生者的で不幸な生涯を送ること、彼女はモンクという自分の犬のように独立した動物の伴侶を好むと主張する。会話はドロテアの Cottage 建築改良計画へと移り、チェッタム卿は熱心にこれを支持し、自らの領地でその設計を実行すると申し出る。ドロテアは自らの考えがこの地方一帯の農村労働者の生活を改善するために広まっていく可能性に大いに喜ぶ。会話の一部に同席していたセリヤは、皮肉交じりに、チェッタム卿はドロテアが自分の恋愛感情に応えてくれていると思い込んでいるが、実際にはドロテアは改良事業にしか関心がないと指摘する。
その後の訪問と人物観察
最初の訪問から数日間のうちに、カソボン氏はティプトン・グレンジへの朝の訪問を重ね、翌週には屋敷での晚餐に招かれ一晩滞在することになる。これにより、ドロテアには彼と話をする機会がさらに三回与えられた。彼女は当初抱いた彼に対する高い評価を完全に確信する。彼の学問上の仕事について語る率直で気取らない会話がたいへん魅力的だと感じ、彼女が軽蔑するような些末な世間話を彼が避けていることに感謝している。彼女が cottage の建設に関心を持っていることを取るに足らぬ仕事として退け、話を古代エジプト人の極端に狭い住居へとそらした時、彼女はほんの少しばかり失望するが、それは彼女自身の小さく家庭的な改革の考えを、彼の壮大で世界を股にかけた学問に押し付けてはならないという証だと自分に言い聞かせて納得する。一方、サー・ジェイムズ・チェタムはティプトン・グレンジを以前にも増して頻繁に訪れ始め、ドロテアは彼が cottage 建設の計画を完全に支持してくれるようになってからは、彼を不快だと感じなくなるが、彼が自分に対して寄せている恋心にはいっこうに気づかず、すべての精力を改革の計画と、カソボンと物識りに対話を交わせるよう十分に学ぶこととに注ぎ込んでいる。
第4章
第四章は、dorothea Brooke(ドロテア・ブルック)が二つの对立する恋爱的展望に対して示す揺れる反応を中心に描いている。すなわち、馬車での移動中に妹のセリアが打ち明けたジェムズ・チェタム卿との想定された courtship、そしてティプトン・グランジに帰還した際に叔父ブルック氏から伝えられた学者カサボン氏の正式な求婚である。本章は、ジェムズ卿と結婚するという考えに対するドロテアの動揺、カサボン氏のパフレットに見出した学問的安堵、同氏への即座にして熱意あふれる受諾を追跡し、最後に、姪の思いがけぬ恋愛的選択に対するブルック氏の私的な苦笑をもって閉じくくられる。
エピグラフ
本章は、二人の紳士の間で交わされた二行の題辞によって幕を開け、個人の主体性と外的制約という核心的な緊張を提示している。最初の話し手は、人は自らの行為によって自ら枷(かせ)を鍛え上げると主張し、次の話し手は、世間こそがそうした自縄自縛の鎖に鉄を提供すると反論する。このやり取りは、本章を通じてドロテアの決断を形づくることになる、社会的そして個人的な圧力の伏線となっている。
セリアがサー・ジェームズの意図についてドロシアに問いただす
ジェームス・チェタム卿の新しいコテージの建設現場を妹のセリアと一緒に視察した帰りの馬車の中で、ドロテアはチェタム卿を求婚者の候補として一蹴し、彼は自分を将来の義妹としてしか見ていないと主張する。セリアはこれに反論し、使用人たちの間でチェタム卿がドロテアに求婚するつもりだという噂が流れていることを明らかにする。この知らせは、チェタム卿に対して何の恋心も抱いていないドロテアを深く打ちのめく。ドロテアはチェタム卿に誤った期待を持たせないようにコテージの建設計画から身を引くと宣言し、セリアに彼女の高遠で非現実的な理想を批判された後、青ざめた顔に充血した目を浮かべて馬車を飛び出していく。
ティプトンへの帰還とパンフレットの発見
ティブトン・グレンジに戻ると、ドロテアは叔父のブルック氏に迎えられる。ブルック氏はその日ロウィック牧師館に寄り、カスーボン氏の書き込みが欄外に記された初期教会に関するパンフレットを二冊持ち帰ったこと、そしてそれが図書室で彼女を待っていることを伝える。この知らせにドロテアの気分はすぐにはれ上がり、彼女は図書室に駆けつけてパンフレットを読み、学問的な仕事に慰めを見いだし、馬車での会話の心痛やティブトンとフレシットでの息の詰まるような社交の力学から一瞬解放される。
ブルック氏がカソボン氏の求婚を明かす
書斎で、ブルック氏はドロセアに正式にカソボン氏が彼女への求婚の許可を求めたことを打ち明けます。内向的な学者であるカソボン氏はドロセアを非常に高く評価しており、将来的には主教の位まで昇進するかもしれないと付け加えます。ドロセアは即座に求婚を受け入れる意向を示し、これまでに会ったどの男性よりもカソボン氏を敬慕し、尊敬していると述べ、ジェームズ・チェッタム卿と結婚する可能性をきっぱりと否定します。ブルック氏は彼女の選択に少し驚いた様子を見せ、この結婚には反対がある(カソボン氏の高齢、不確かな健康、内向的な性質)と指摘しますが、最終的にはドロセアの決断を支持する旨を改めて伝え、カソボン氏からの手紙を彼女に手渡します。そして、娘の恋愛における好みが不可解であることを一人密かに噛みしめるのでした。
第6章:カソボン氏の求婚とドロシアの婚約
カサボン氏はドロテア・ブルックに正式な書面での求婚状を届け、彼女が自身の学問的生涯を分かち合うにふさわしい、知性と感性の稀有な兼备を備えているとの信念を表明する。ドロテアは深い感情をもってこれを受け入れ、この婚姻を一層崇高で目的に満ちた存在への聖なる参入とみなす。彼女は受諾の手紙をしたためて送り、まず後見人であるブルック氏にその知らせを告げる。ブルック氏はかすかに驚いた様子を示すものの、結局はこの縁組に同意する。続いて妹のセリアに伝えるが、セリアは最初この婚約に心を痛められる。カサボン氏がティプトン・グランジにやって来ると、二人は婚約者同士として初めて二人きりで会話を交わし、六週間以内に結婚することで合意する。
学者の健康問題に関する冒頭のエピグラフ
本章は、ロバート・バートンの『憂鬱の解剖』から採られた題辞で始まる。そこには、刻苦勉学する学生や学者のもとに一般的に見られる身体的疾患——痛風、リウマチ、結石、疝痛、眩暈、消耗症など——が列挙されており、これらはいずれも過度な座り仕事と勉強のしすぎに起因するとされている。
ドロテア・ブルックへのカソボン氏の正式な書面による求婚
キャソボン氏はドロシーアに正式な書面での求婚を提出し、最初の出会いの時から、彼女こそが自分の孤独な学問生活の中で感じてきた同伴者への渇望に応えてくれる、「顕著で、おそらく他に代えがたい適性」を備えた人物であると見定めていたと述べ、彼女の想いが、共に歩む未来についての自身の「喜ばしい予感」と合致するか否かを確認するよう求めました。
プロポーズに対するドロテアの感情的反応
その提案書を読んだドロテアは、厳粛な感情に満たされ、夕食の身支度をする時が来るまでひざまずいたまますすり泣く。彼女はその手紙を、敬愛する精神への奉仕に身を捧げられる、より充実した人生の始まりと解釈し、自らをさらに高位の initiation に踏み入ろうとする新参者だと見なす。
ドロテアが承諾の手紙を作成し完成させる
夕食の後、ドロテアは自分の部屋へ上がり、受諾の手紙をしたためた。筆跡が普段になく不安定だったため、三度書き直すこととなった。彼女は自分の文字をきれいに書く腕に誇りを持っており、キャソボン氏の目に無用な疲れを強いることのないよう心を配っていた。
ドロテアが後見人のブルック氏に婚約を報告する
ドロテアは、翌朝に出すため、婚約承諾の手紙を後見人のブルック氏に託す。ブルック氏は、ドロテアがこの決定について十分に考えたのかを問い質し、失望したジェイムズ・チェタム卿のことに触れるが、最終的にはカサボンの家柄や地位の良さを指摘し、その縁談を受け入れる。
ドロテアがセリアにカソボン氏との婚約を知らせる
翌日、昼食の時、ドロテアは妹のセリアに婚約のことを打ち明ける。セリアは最初、衝撃を受け心を痛め、その縁組みに恥のようなものを感じる。それでもなお、姉妹としてのセリアの愛情が不安に打ち勝ち、彼女は優しく妹を支える。ただし二人の姉妹は、人生においてまったく異なるものを慕っていることを互いに認め合っている。
カソボンの到着とドロテアとの初の私的な会話
カーウソン氏はティプトン・グレンジに夕食会のために到着し、ドロテアと二人きりで言葉を交わす。その席で、彼は彼女の幼げで控えめのない献身に深い喜びを表す一方、彼女は彼の偉大な学問上の目的を分かち合いたいと望む心を伝える。こうして二人は、カーウソン氏の邸宅が二人の受け入れの整っていることから、婚礼を六週間以内に行うことで合意する。
第6章。
この章は、キャドウォラダー夫人がドロセア・ブルックとカサボン氏の秘密の婚約を知るところに始まり、その知らせをジェームズ・チェッタム卿に伝えようとする彼女の試み、さらにはジェームズ卿とセリア・ブルックとの新たな縁組を企てる方向への彼女の転換、そして彼女の人柄についての随伴する物語的考察と、この婚約に対するジェームズ卿の反応を描いている。
冒頭の詩とカドワラダー夫人とフィチェット夫人のやり取り
第章は風刺的な詩から始まり、キャドウォラダー夫人を機知に長けた辛辣な女性として描き出している。続いて彼女は、ポニーファエトンに乗った番小屋番のフィチェット夫人と出会い、フィチェットの卵を食べてしまう家禽について率直で愉快な軽口を交わし、その厄介な家禽と引き換えに自分のタンバラ鳩を二羽譲り渡す取引を交渉し、フィチェットが彼女の辛辣だが人懐こいからかいに笑いを浮かべながら立ち去る場面で幕を閉じる。
書斎でのカドワラダー夫人とブルック氏の会話
キャドウォラダー夫人はブルック氏の書斎を訪れ、キャソボン氏と共にホイッグ党側から議会に立候補するといううわさの計画をからかい、すべての党派を遠ざけるだろうと思われる彼の独立した政治的立場をあざける。ブルック氏が、ドロテアが彼の希望していたジェームズ・チェタム卿ではなくキャソボン氏と結婚することを選んだと明かすと、セイリア・ブルックが到着し、キャドウォラダー夫人に対して婚約を確認する。夫人はショックを受けて反応し、すぐにジェームズ卿に知らせると宣言する。
カドワラダー夫人、ドロシアの婚約を確認しジェームズ卿の新しい縁談を画策する
セリアからドロシアとカサボンの婚約を知らされたキャドウォラダー夫人は、当初計画していたジェームズ卿とドロシアを結びつけようという考えを捨てる。ドロシアを移り気で過度にメソジスト的であり、準男爵の妻として不適切だと判断したからである。代わりに彼女はジェームズ卿とセリアの縁組を画策することを決意し、妹のブルック嬢こそ彼にはるかに分別があり、ふさわしい相手だと見なす。
カドワラダー夫人、フレッシュイット・ホールでジェームズ・チェタム卿に婚約を知らせる
キャドウォラダー夫人は馬車でフレシット・ホールへ向かい、ドロテアの婚約をサー・ジェームズ・チェッタムに伝える。温室で彼と二人きりになる機会を確保し、その知らせを打ち明ける。サー・ジェームズはその縁談に衝撃を受け、強い嫌悪感を示す。しかしキャドウォラダー夫人はセリア・ブルックがサー・ジェームズに好意を抱いていること、そして高遠な理想を追うドロテアよりもはるかに穏やかな妻になるだろうとほのめかして彼を慰め、その後立ち去る。
キャドワラダー夫人の人物像と仲介の動機に関する物語の考察
物語はキャドウォラダー夫人の人物像について考察している。彼女は高貴な生まれでありながらつつましい女性で、ティプトンとフレシットの非公式な縁結び係として振る舞い、鋭い機知と社交的な影響力を通じて地元の婚姻や社会的な取り決めを形作っている。彼女の縁結びは、身分や家柄の優先性についての硬直した信念と、共同体の秩序への願望に根ざしている。サー・ジェームズのためにあらかじめ計画されていた縁組をドロテアが拒絶したことへの彼女の苛立ちは、自分の縁結びの腕への傷ついた誇りと、サー・ジェームズをセリアと結びつけることでより幸福で安定した結婚が実現するという彼女の本当の信念の両方に由来している。彼女は俗悪な成り金に対する深い偏見を抱き、社会的な事柄においては血統を何よりも優先し、ドロテアの宗教的熱意を軽率で浅はかな気まぐれとして退ける。
ジェームズ・チェタム卿、知らせを受け入れティプトン・グレインジ訪問を決意する
ドロテアがカサヴァンと婚約したという衝撃の知らせを受けた後、ジェームズ卿は激しい嫌悪感を覚えて馬で去っていくが、次第に失望を克服していく。計画通りティプトン・グレインジを訪れ、友好的な挨拶をするためブローク家へ赴く決意を固め、自分はドロテアに正式に求婚していなかったことに安堵する。キャドウォラダー夫人の「セリアがあなたを慕っている」という示唆に気をよくして、彼は結婚の相手候補として妹のブルック嬢の方へ注意を向け始め、ドロテアの選択によって残った心の傷をプライドで隠そうとする。
第7章。
この章は、快楽と季節に関するイタリアの諺で始まり、恋愛における时机と自然な進行というテーマを確立する。予想通り、カサボン氏は求愛期間中にグレンジでかなりの時間を過ごし、『あらゆる神話への鍵』の執筆作業が中断されるため、彼はこの関係がうまく結実することを切望している。
カソボンの求愛の動機とドロシアに対する認識
カサボン氏は、自らの学問的仕事を遅らせることを承知の上で、敢えて求婚を選んだ。人生のこの時期には女性の交際を添えて彩りを施し、学問的勤労の倦怠に光明を添えるべきだと、彼は固く心に決めていた。晩年には、女性に身の回りの世話をしてもらうことを望んでいる。ところが、彼の感情の反応は期待外れに浅はかで——全身を浸すようなものではなく、ただ「水を撒く」程度のものに過ぎないことに彼は気づく。男らしい情念については、詩人たちが大袈裟に描いてきたに違いないと結論づける。そうした微温的な感情を抱きながらも、ドロテア・ブルックが、結婚に対する彼の期待に合致する熱心で従順な愛情を示していることを、彼は満足げに観察する。ドロテアの何かに欠陥があって、だからこそ自分の激情が控えめなものになっているのかもしれないと彼は一瞬考えるが、その欠陥を見極めることができない。もはや自分以上に心を惹かれる女性を思い描くこともできない彼は、結局のところ詩人たちが誇張の罪を犯しているだけだと断じる。
ドロシアの古典語学習の提案と開始
求婚期間中、ドロテアはカサボン氏に対して、自らをより有益な存在にするため、彼のためにラテン語とギリシャ語を音読することを学びたいと提案し、ミルトンの娘たちを模範として引き合いに出す。カサボンがその娘たちは自らの役割を恨んでいたと指摘すると、ドロテアは彼女たちは不従順だったのだから、あのような父に仕えることを誇りとすべきだったと主張する。古典語を勉強したいと願う彼女の気持ちは、夫婦としての献身にとどまるものではない。彼女は男性的な知識を、真理がより明瞭に見える高みからの視点とみなしている。彼女は自分の無知を感じるからこそ自らの判断に疑いを抱き、古典教育を受けた男性が貧者の福祉といった実際的な問題には無関心であるように映るのを目の当たりにして、社会的義務の問題をどうして自信を持って裁断できるのだろうかと首をかしげる。彼女は聡明な夫に頼るだけでなく、自らの手で知を授かりたいと願っている。カサボンは一度に一時間ずつ彼女を教えることを引き受け、彼女の初歩的なつまずきには恋人でもあるかのように優しく対処する。それでもドロテアは進歩の遅さに気落ちし、古典語には女性の理性の力の及ばない神秘が秘められているのかもしれないと疑い始める。
ブルックのジェンダーに基づく教育と音楽に関する見解
ブルック氏は、古典や数学のような深い学問は女性には厳しすぎるという強い見解を持っている。彼は女性の心を軽くて表面的だと特徴づけ、音楽や美術により適していると考えている。彼の考えでは、女性は洗練されたたしなみとして、座って心地よい英国風の曲を演奏できることが望ましい。ブルックはウィーンでオペラを聴いたことがあり——グルックやモーツァルトなど——だが、音楽に関しては自分が保守的だと自認しており、新しいものよりもシンプルで伝統的な旋律を好む。ドロテアがカサボンはピアノを嫌っていると口にすると、ブルックはセリアの方が進んで弾くことを認めつつも、その取り決めを受け入れる。カサボンは、繰り返される旋律が自分の思考にばかげた機械的な動きを引き起こため、娯楽としての音楽には耐えられないと説明する。ドロテアは、フライベルクで聴いた壮大なオルガンの音楽に心を打たれて涙したことを述べ、それを楽しんでいただろうと宣言して叔父を驚かせる。ブルックはこの感情的な反応を不健全なものとして退け、これからはカサボンがドロテアにもっと冷静になるように教えなければならないと告げる。
ブルックの矛盾に対する語り手の考察
語り手は一歩退いてブルック氏の矛盾を考察する。すなわち、彼は後に主教たちの収入を批判する急進的な演説を行うことになるはずなのに、今の時点では、姪がほぼ確実に主教となり、かなりの教会収入を得る男性と結婚することを喜んでいる。語り手は、自身の未来を予見できなかった歴史上の人物たちの例を引き合う――カトリックの王となるナバラ王アンリ、あるいは将来の紳士たちが時計を持つことなど夢にも思わなかったアルフレッド大王を――こうして、登場人物たちが自分の歩む道を予測できないことを例証する。しかし語り手はさらに、前例にあまり依拠しないもう一つの観察を提示する。たとえブルックが自分の将来の演説を予知していたとしても、彼の現在の考え方を変えるにはいたらなかったかもしれない、というのである。語り手はこう示唆する。姪の夫の神職収入は一つの事柄であり、自由主義的な演説を行うことはまったく別の事柄である――そして限られた知性では、複数の視点から同時に問題を見ることができないのだ、と。
第VIII章。
この章では、ジェームズ・チェッタム卿がドロセア・ブルックとカサボン氏の婚約に苦慮する姿が描かれている。物語は、結婚に反対するための介入を求めてカドウォラダー夫妻のもとを訪ねる場面を中心に展開し、カサボンの人物像とその結婚の適否についてさまざまな見解が明らかにされる。その一方で、チェッタム卿はドロセアのコテージ改良計画への協力を引き続き続けるものの、彼の関心は徐々に彼女の妹セリアへと移っていく。
優しき乙女に対する保護者の嘆願
サー・ジェイムズ・チェッタムは、ドロテアがカソーボンと婚約したことを憂慮し、教区牧師館を訪れてカドウォラダー氏に面会を求める。ブルーク氏に掛け合ってくれる人物を探していたサー・ジェイムズは、ドロテアが若すぎ、本来望むべき夫について十分に理解できているとは思えないと懸念を表明し、後見人として彼女が愚かな決断を下さないよう介入すべきだと主張する。さらに彼は、娘たちの父親でもあるカドウォラダー氏の立場と、情に厚いという評判に訴えかけ、この問題を無関心で片づけてしまうのではなく、真剣に話し合ってくれるよう求めます。
ドロシアの婚約に対するジェームズ・チェタム卿の反応
ドロテアがカサバンを選んだと認識しているにもかかわらず、ジェームズ卿は婚約についてまったく無関心でいることはできないと感じる。彼女を失うことを受け入れる覚悟はできたつもりでいるが、彼の屈辱は嫉妬ではなく同情によって和らげられている——彼はカサバンをライバルとして圧倒されているとは思わないのである。むしろ、彼の心を痛ませているのは、ドロテアが自分から見れば悲しげな幻想にとらわれているという衝撃である。彼は、保護者として後見人であるブルック氏がその縁組を止めるべきだったのではないかと考えるとともに、たとえせめてものことであっても、結婚を遅らせるなど、まだ何か手立てがあるのではないかと胸を焦がす。
ジェームズ卿、今度の結婚についてキャドワラダー夫妻に相談する
サー・ジェームズは、釣りのリールを整理しながら聞いているカドウォラー氏に対して、自分の懸念を説明する。カドウォラー氏は、ドロテアが彼を気に入っているなら、カサボン氏に対して特に反対はないと認め、サー・ジェームズはカサボン氏の中に本物の心の温かさがあるかどうかを探ろうとする。カドウォラー氏がカサボン氏の貧しい親類への親切—女性の親類に年金を与えたり、若い従兄弟をかなりの費用をかけて教育したりしている—を指摘すると、サー・ジェームズはそれがカサボン氏の人柄のよく表れだと認めるものの、それでも若い女性がそうした男性と幸福を見出せるのかどうかを心配している。
ブルック家とカーソーボンとの結婚をめぐる議論
キャドウォラダー夫人が会話に加わり、カサボンには鱒の泳ぐ小川がありながら、自分で釣りをするつもりがないことを面白おかしく指摘する。重ねて問われると、彼女はカサボンの体には「立派な赤い血」が流れていないと冗談めかし、彼をセミコロンと括弧だらけと評する。ジェームズ卿は、結婚をするよりもカサボンが自分の本を出版すべきだったと苦々しく思うが、キャドウォラダーはカサボンを「学識ある聖職者で、聖職者の衣に恥じない人物」と弁護する。彼は干渉を拒み、ブルークは「柔弱な人物」であり方向を変えることはまずありえず、かえってカサボンのほうがブルーク嬢を他のいかなる選択肢よりも幸せにするかもしれないと述べる。
ジェームズ卿、コテージに集中し、関心をセリアへと移す
キャドウォラダー家からの介入は望めないことを悟ったジェームズ卿は、ドロテアが誤った判断を下す自由を持つことを受け入れる。彼はコテージの改良計画に踏みとどまり、この粘り強さが自身の威厳をよく映し出すものだと認める。ドロテアは地主としての義務への彼の献身を称え、キャソボンとの幸福のただ中にあっても、彼の一貫性に喜びを見出す。その後の訪問のたびに、ジェームズ卿はドロテアと喜んで話すことが次第に増えることに気づき、打ち明けるべき情熱を持たない男女の間に成り立つ率直な優しさと連帯の愉悦を発見する——同時にセリアにもささやかな気配りをし始める。
第IX章
冒頭には、「法を渴望する」古代の国々では「すべての闘争が秩序と完全な法 rule の追求」であったとするエピグラフが置かれ、そうした奮闘が今や「人間の魂のうちに」あるという近代的な認識と対比されている。焦点はカサスボン氏の結婚に関する取り決めについての満足のいく振る舞いへと移る。この取り決めは、ドロテア・ブルークとの婚姻の予備的手続きを円滑にするものだ。物語の語り手は、女性は「結婚後に服従への意欲を培うために、結婚前にあれこれ指図をする」ものだと指摘し、迫り来る結婚に作用する力関係を示唆している。
古き国々についての題辞
古代の予言に現れる古い国は「法を渇く望む地」と称されていた。そこでのあらゆる闘争は、秩序と完全なる法則を求めるためのものだった。されば、こうした国々は今どこに存在するのだろうか?二人の紳士。されば、変わらぬ場所—古の昔より変わらず、人間の魂の中である。
結婚前の財産契約
カソボン氏の持参金に関する態度はブルック氏にとって大いに満足のいくものであり、結婚の手続きは滞りなく進んで、婚約期間は数週間短縮されることとなった。婚約した花嫁は将来の新しい住居を見分しなければならず、また施したい変更があればそれを指図するものとされていた。一節には、人間が自分の思い通りに振る舞うときに犯す間違いについて、「私たちがそれほどまでにそれを好むのも、確かに不思議に思われてならない」と記されている。
ロウィックへの旅
十一月の、どんよりと曇ってはいるが乾いた朝、ドロテアは叔父とセリアと一緒にロウィックへと馬車を走らせた。この旅路によって、婚約した二人は彼女の新しい暮らしの家へと足を踏み入れることになる。ブルック氏は、結婚の段取りにおけるこの大切な段階の介添人として、また証人として、その役目を務めるのだった。
ロウィックの館と敷地
カーソボン氏の邸宅はローウィックにある荘園の邸宅で、庭園の一部からは小さな教会の姿が見え、正面には古い牧師館が向かい合っていた。カーソボン氏が牧師としての第一歩を踏み出した頃は、聖職禄を保持していたにすぎなかったが、兄が亡くなったことでこの荘園を相続した。敷地には小さなパーク(樹木を植え込んだ草地)があり、見事な老オークの木や南西側正面に向かって延びるシナノキの並木道があり、低い埋垣(サンク・フェンス)で楽園(プレジャー・グラウンド)と区切られていた。家の南側と西側は幸福な眺めを享受でき、沈む夕陽の下、緑の芝生の斜面が麦畑や牧草地へと溶け込んでいく光景が広がっていた。しかし、南側と東側は、明るい朝の光の下でも陰鬱な趣を帯びていた。敷地は狭く、花壇の手入れは行き届いておらず、窓のすぐ近くにはどっしりとした陰気なイチイの木が密集してそびえ立っていた。緑がかった石材で建てられたこの邸宅は古い英国風の様式で、醜くはないものの、窓は小さく、全体として陰気な雰囲気を漂わせていた。子供たちの姿や花、明るいものがなければ、喜びを感じさせることのできない邸宅であった。
家の第一印象
セリアは密かに、フレッシュット・ホールの方がローウィックより心地よいだろうと思っていた。白い切石、柱の立ち並ぶ車寄せ、花の咲き誇るテラスを、風雨にさらされた古びたマナー・ハウスと対比させながら。対照的にドロセアは、その家と敷地は自分の望むもののすべてを備えていると感じていた——書斎の薄暗い書棚、時を経て落ち着きを増した色彩のカーペットとカーテン、廊下の壁に掛けられた珍しい古地図や鳥瞰図、そして古びた花瓶など。こうしたものの方が、彼女にとってはずっと Granny の持つ石膏像や絵画より心浮き立つものに思われた。 Granny の品々はかねてより彼女に居心地の悪さを覚えさせてきた——「厳粛な古典の裸体像」や「薄笑いを浮かべたルネサンスのコレッジョ風」の絵画のように、彼女の清教徒的な感性には「痛ましいほど不可解」だったのだ。ローウィックの過去の所有者たちはどうやら旅人ではなかったらしく、カサボン氏による過去への探究は、こうした視覚的な助けに依拠して行われているわけではなかった。
ボワイエ
カーソボン氏はドロシアを、彼女の私室として持たせたいと思っている張り出し窓のある部屋へ案内し、女性としての必要を理解していることを示した。部屋を提示されたとき、ドロシアはすべてを自分に決めてもらいたいと述べ、ありのままで受け取ることを望んだ——「あなたがこれまで使い慣らしてきた通りに」。その部屋には、菩提樹の並木道を見下ろす張り出し窓、薄褪せた青色の家具、白粉を付けた髪をした淑女や紳士たちの小さな肖像画が一群になって掛かっていた。一枚のタペストリーには、青緑の世界に淡い牡鹿が描かれていた。細い脚の椅子やテーブルは倒れやすく、その部屋に幽玄で幽霊のような趣を与えていた。
家族の肖像画
ミニチュアを調べたドロテアは、カサボン氏の母とその姉を見分けた——自分とセリアのような二人姉妹であり、上に肖像画が掛かっているのは両親のこの二人の子供だけだった。セリアは姉の方を綺麗だと感じたが、母親の方はあまり好かなかった。ドロテアは母親の肖像をじっと見つめ、互いにおおむね近い位置にある深い灰色の目、さざ波のような繊細で不揃いの鼻、後ろへ垂れ下がる粉おしろいの巻き毛を認めた。彼女はそれを「美しいというよりむしろ独特」だと感じ、カサボン氏の母とは「家族の似顔すらも」ないと思った。カサボン氏が「二人の運命は似ていなかった」と述懐したとき、ドロテアは彼の叔母が不幸な結婚をしたのだということを知った。叔母には一度も会ったことがなく、ドロテアはそれ以上聞き出すのは不作法だと感じた。
庭園の散歩
一行は草の茂る花壇と木立の間を抜けながら、教会に向かって庭園を歩いていた。教会の墓地への小さな門に差しかかったとき、カソボン氏は鍵を取りに牧師館へ向かった。セリアは「小道のひとつを上がってくる quite young な方」をちらっと見かけたと話した——淡褐色の巻き毛にスケッチブックを手にした紳士だった。ブルック氏は教区副牧師の子ではないかと言いかけたが、セリアは年老いたタッカー氏との血縁関係には疑問を抱いた。カソボン氏はその年老いたタッカー氏を案内役として連れてきて、村の中を案内させた。
村と副牧師
タッカー氏は、ドロシーズの村人や教区民に関する質問に答えるにあたり、非常に頼りになる人物であることが証明された。彼はドロシーズに、ロウイックでは誰もが裕福であることを請け合った——小作人たちは豚を飼い、畑はきちんと手入れされており、男子は良質のコールデン地の服を着、女子は身なりの整った使用人として奉公に出るなり、家で麦わらを編むなりしていた。機織り場はひとつもなく、非国教徒もいなかった。人々の性向は霊性よりも蓄財に向かっていたが、悪徳はほとんど見られなかった。ブルック氏はまだらの鶏を目にし、「立派なフランス王がかつて望んだように」、貧しい者にも鍋に鶏を入れられるかもしれないと言った。ドロシーズは憤然として、王が民に食べ物を与えたいと望むだけで徳を褒められるとは、安上がりな願いにすぎないと返した。
ドロテアの失望
ドロテアは家に戻る道、黙り込んでしまった。ロウィックには自分がすべきことが何もないという事実に、彼女は失望を覚えた——その感情を恥ずかしく思いながら。彼女の心は、彼女が望んだかもしれない別の可能性へと向かった。すなわち、世の苦しみが多く、積極的な務めを必要とする教区があればよいと。現実の将来に立ち戻ったとき、彼女はカサボン氏の志への完全な献身を思い描き、夫の深い学識が示してくれるかもしれない新たな務めを待ち望むのだった。
若きラディスロー
一行は領地の代々伝わる最も大きな誇りである、見事な一位の木の方へ迂回路を取って向かった。そこで、ベンチに座ってその老木をスケッチしていたのは、明るい茶色の豊かな巻き毛をした青年で、従姉のジュリアおばさんの孫にあたるキャソボン氏のまたいとこのウィル・ラドスラウと紹介された。ウィルはこの未来のまたいとことの紹介に魅力的な笑みを浮かべることはなく、むしろ「不満を浮かべたふくれっ面」をしていた。彼の灰色の瞳、細かく波打つ繊細な鼻、後ろへ流れる髪は祖母のミニチュア肖像画に似ていたが、口とあごはより大きく、迫力があった。
スケッチブック
ブルック氏はウィルのスケッチブックを手に取り、遠慮もなく次々とページをめくり、石だらけの地面と木立と池を描いた大きく彩色されたスケッチを、自称「ブリーオ」を込めて称賛した。 判断を請われたドロテアは、自分にはわからないと告白した——彼女は称賛される絵に美しさを見いだしたことが一度もなく、それをギリシャ語の無知に似た「自分の解せない言語」だと感じていた。 ウィルは、彼女が伯父と自分の両方をからかっているのではないかと思ったが、にもかかわらず彼女の声は彼に「かつてエオルスの竪琴の内に住んでいた魂の声のような」ものとして響いた。 二人が背を向けたとたん、ウィルは声を上げて笑い出した。自分の芸術のもてなし方、厳格な従姉妹が恋人になるという発想、そしてもし怠惰でなかったなら就いていたかもしれない地位についてのブルック氏の定義に、おかしさを感じたのである。
ウィルの将来と職業
ブルック氏はカサボン氏の「甥」が自分自身をどうするつもりかと尋ねた。カサボン氏はそれは誤解だと説明した——ウィルは甥ではなく、いとこだと。就職について言えば、答えは「痛ましくも不確か」だった。ウィルはラギーを卒業後、イギリスの大学へ進むことを辞退し、ハイデルベルクで学ぶことを選んだ。そして今度は、定まった目的もなく漠然と「修養」のためにもう一度海外へ行きたがっており、職業を選ぶことを拒んでいた。カサボン氏は、ほどほどの資金を一年分だけ支給して、ウィルを「自由という試練にかける」ことに同意していた。ドロテアはこの処置を「高潔なこと」だと称賛し、ウィルが「自分自身にもまだはっきりとは分からない天職」を持っているかもしれないと願った——つまり、人は「いま成長の途上にあるからこそ、怠けていて弱く見える」こともあるのだと。
婚約における忍耐
カサボン氏は自分の立場を次のように説明した。ウィルには、学問的な教育と面目ある世間への門出について、ほどほどの援助を期待させるだけの根拠を与えてしまった以上、「単なる正しさ」からもその期待に応えなければならない、というのであった。 しかし、ウィルが「探究へと傾いた」とか「地質学の拡充」に取り組んだとは、どうしても思えなかった。むしろウィルは、ナイル川の源を知らずに済ませたい、未知の地域は「詩的想像力の狩り場」として残しておきたいと述べていた。 これは、あらゆる種類の事柄に対する「全般的な不正確さと徹底性への不本意」を示すものにほかならなかった。 カサボン氏は、まだ完成していない仕事のために何年もの準備の労苦を物語る自らの手稿の何巻かを指し示したが、効果はなかった。 そうした道理に対して、ウィルは自分をペガサスだと呼び、規定されたいかなる仕事も「馬具」だとこたえた。 ドロテアは、真剣な職業について、ウィルには「自分には不適格だという良心的な後ろめたさ」があるのかもしれないと示唆した。 セーリアは笑い、カサボン氏が「なかなか愉快なことを言う」ことに驚いた。
姉妹だけ
セリアはドロテアに、忍耐がよいことだと思うのは、きっと婚約しているからに違いないと言った。ドロテアが自分が気短だと認めると、セリアは、それは人々が「自分の好きなようにしたり言ったり」してくれるわけではないからだと述べた。婚約以来、セリアはドロテアに「ものを言う」のが以前ほど怖くなくなっていた ― 賢さというものは、かつてないほど哀れなことに思えた。
第X章
この章は、まずウィル・ラディスロウが予告なしに大陸に向けて旅立つ場面から始まる。彼は固定された計画ではなく、偶然に対して開かれた心で受け止めるという哲学を持っており、これはカサボン氏の地道な学問的労働とは対照的である。語り手は、地方の取るに足らない人物たちが抱くカサボン氏への不評に対して異議を唱え、外部の判断を超えて、結婚が迫る中でのカサボン氏の私的で言葉にされない失望を見つめるよう読者に促す。ドロシア・ブルークとの結婚が近づくにつれ、ドロシア自身は結婚生活とそれによってもたらされると信じる知的充足に対して、変わらぬ喜びある期待を抱いている。章ではまた、グレンジでの結婚前最後の晚餐会に中級社会へ新たに登場した若い外科医リドゲート氏を紹介し、カサボン家の人々と結婚の直後にドロシアとカサボン氏がローマに向けて出発するところで閉じられる。
ウィル・ラディスラウの出発
ウィル・ラディスロウは招かれたにもかかわらずブルック氏のもとを訪れることを辞退する。そして六日後、カソボン氏は自分の若い親戚が大陸に向けて旅立ったと発表するが、行き先についてはヨーロッパ圏内ということ以外には明らかにしない。 ウィルは、天才には束縛からの自由と崇高なる偶然への開かれた心が求められると信じている。これまでにも感受性を極限まで研ぎ澄ますさまざまな手段(深酒、断食、アヘンの摂取)を試してはみたものの、目立った創作の成果は得られず、自分の素質は憧れのデ・クインシーのそれとは異なると悟っている。 彼は確たる見通しを持たぬまま旅を続け、予言ごときを無用の過ちと見なしている。
コーソボン氏の再評価
語り手は、カサボン氏に対して断定的判断を下すことに警鐘を鳴らしている。その根拠とされ得るのは、脇役たちの偏った取るに足らぬ意見にすぎないからだ——カドワラダー夫人の聖職者然とした信心への軽蔑、ジェイムズ・チェッタム卿のカサボンの風貌への蔑視、ブルック氏がカサボンの考えを引き出せなかった不手際、そしてセリアの容姿への批判など。最も高名な人物たちでさえ、形式ばらない場では不本意な評価を浴びるものであり、冷静な修辞的文体が繊細な情感や意義ある仕事を排除するわけではない。語り手はむしろ、カサボン自身の学問的労苦、衰えゆく希望、自己欺瞞という内面的経験に焦点を合わせるよう促している。すべての人間は自らを自分自身の世界の中心と見なすものであり、「神話学総覧」執筆の適任者として認められたいと願う彼の欲望は、ごくありふれた哀れな人間的願望にほかならない。
コーソボン氏の秘密の落胆
ドロテアとの婚礼が近づくにつれ、カサボン氏は気持ちが浮き上がらないことに気づく。そして、グレインジを訪れた時には、名づけようのない空白のような孤独を感じる。それは、未完の学術的仕事に苦心している時の絶望よりもさらに悪い寂しさだった。彼は、独身で過ごした数十年の間に愛の蓄えを築き、それを結婚生活に役立てることができるだろうと想像していた。しかし、愛らしく気高い妻を得ただけでは、彼が同様に期待していた喜びがもたらされなかったという事実に、密かに衝撃を受け、悲しんでいる。彼はこの失望を自分自身からでさえ隠し、成果の上がらない自分の労働に対して心に描く、容赦ない批評的な「聴衆」に対抗するための励ましとして、ドロテアの若々しい崇拝と自分の仕事への関心に頼っている。
ドロシアの喜ばしい期待
ドロテアにとって、カサボン氏の偉大な学術的著作に関する議論は、学びの新たな展望を開き、彼女の人生を古代世界の叡智と結びつける統一理論を探求しようとするいつもの衝動を遅らせていた。彼女は知識を表面的な業績として求めるのではなく、自分の生活に理性的で熱烈な目的を与える道具として求めており、カサボンを、彼女が切望する知識への鍵を握る博学な人物と見なしている。彼女は、結婚についての曖昧で熱気に満ちた考えと、カサボンから期待する知的な導きを一つに融合させ、結婚式への喜びと感謝に満ちた期待は、カサボンが時折感じる、彼女の明らかな愛情と結びつけることのできない物足りなさにもかかわらず、完全に揺らぐことがない。
送別のディナーパーティー
穏やかな天候のおかげで、婚約の旅をローマまで延ばすことができるようになる。カーソボンはバチカンで写本を調査したいのでそれに賛成する。旅にドロテアが付き添いの女性を連れてくれば、自分はもっと自由に動けると彼が口にすると、ドロテアは一時的に心を傷つけられる。彼女が一緒でなくても構わないという含みがあるためだ。しかしすぐに、彼は道理にかなったことを言っているのだと自分を納得させる。その夜、結婚前最後の晩餐会がグレインジで催され、新市長、銀行家のブルーストロド氏、弁護士のスタンディッシュ氏、そして新しく到着した若い外科医のリドゲート氏をはじめ、ミドルマーチのさまざまな面々が顔を揃える。
農館での噂話
晩餐会が終わる頃、ゲストたちは間近に迫った結婚について噂話をしている。スタンディッシュ氏はドロテアを素晴らしい女性だと称賛するが、チチェリー氏は彼女を「堅すぎて自分の好みに合わない」と一蹴し、市長の娘ヴィンシー嬢の方が好みだと語る。キャドワラダー夫人とチェッタム夫人はカサボン氏のやつれて乾いた外見と難解な学問的著作を嘲り、ドロテアが一年も経たないうちに彼を憎むようになるだろうと予言し、彼の虚弱な体質と魅力のない学識は、まずい薬と同じく結婚相手として不向きだと推測する。
リドゲイト氏の紹介
チェタム夫人は、彼の腕利きと革新的な治療法について聞き及んでいたことから、新しい若い外科医リドゲート氏への紹介を求める。リドゲートは、謹厳な物腰と、自身の独特な体質に関する夫人自身の見解への敬意をもって彼女を感心させ、夫人は彼の才能について非常に好印象を抱く。ブルック氏は、リドゲートが人脈が広く、パリで学問を修め、医療の改良に関する新しい考えを持っていると指摘するが、保守的なスタンディッシュ氏は、リドゲートの手法が実証されていないとして危険視し、長年試されてきた伝統的な治療を好む。リドゲートはパーティーを早めに引き上げ、ドロテアが珍しく真摯で興味深いと思うものの、彼女は自分の好みのタイプの女性ではなかった。
ローマへの出発
晩餐会のすぐ後、ドロテア・ブルックはカサボン氏と結婚し、女中のタントリップだけを連れ添ってローマへと旅立った。新婚旅行の途中で夫と合流するためであり、それは夫がバチカンで計画していた研究を遂行するためでもあった。
第11章
この章は、ベン・ジョンソンの題辞で始まります。そこでは、喜劇が日常的な言葉や性格のタイプを通して人間の愚かさと時代を描き出すことが語られています。これが…の基調を定めています。
喜劇と愚行に関するベン・ジョンソンのエピグラフ
ベン・ジョンソンの作品から引用された題辞は、喜劇が罪ではなく人間の愚かさを表象する日常的な言葉や人物形象を通じて時代を映し出すものであることを明確に示している。これは本章が社会的関係や恋愛感情を考察する際の主題的な枠組みとして機能し、地方のイングランド社会を理解するためのレンズとしての喜劇を位置づけている。
ロザモンド・ヴィンシーに魅了されるリドゲート
tertius lydgate博士は、rosamond vincyにますます惹かれていることに気づく。彼女こそ女性的優美さと才芸の具現だと彼は考えている。彼はdorothea brookeと対比し、後者には自分の重視する正しい女性的資質が欠けていると見なす。lydgateはrosamondを、絶妙な音楽に似た旋律的な魅力を備えた女性と見なし、自分の独身生活の継続が自身の意志よりも彼女の選択にかかっているだろうと悟る。彼は職業的に身を立てるまでは結婚しないと固く決意しているが、miss brookeとは著しく異なるこの印象的な女性には心が奪われてしまう。
ロザモンド・ヴィンシーとドロシア・ブルックの対比
この叙述は、リドゲートの視点を通じて、ロザモンド・ヴィンシーとドロテア・ブルークとの間の重大な相違点を浮き彫りにしている。ドロテアは疑いようのない美貌の持ち主だが、リドゲートは、彼女が自分にとって不可欠だと考える適切な女性的な観点から物事を見ないと感じている。彼は、彼女との交際を、楽園というよりもむしろ労働の中での息抜きのようなものだと感じている。対照的に、ロザモンドは、その存在によって絶妙な音楽のような効果を生み出す。特に注目すべきは、ヘロドトスに登場するイオが、魅力的な外見に惑わされた存在としてロザモンドに類似していたのに対し、ドロテアはリドゲートの評価において、対照的な女性理想として明確に区別される存在として際立っていることである。
地方ミドルマーチにおける社会の変遷
古い地方社会は、社会的変動や境界線の変化を含む絶え間ない微妙な動きを遂げている。ある家系は没落し、他の家系は隆盛する——人々は富を得るが、気音(h音)を失い(すなわち、教養のない発音をするようになり)、新たな社会的つながりを築き上げる。政治的・宗教的な流れが、予期せぬ形で社会的集団の枠組みを塗り替える。三世代にわたって隣人と姻戚関係を結んできた古い製造業者であるビンシー家のような一族は、独特の社会的地位を占めている。ビンシー氏の姉妹と結婚したブルーストロード氏は、正真正銘のミドルマーチ家と結びつくことで出世した部外者の代表例である。本文は、古い経済慣行が変化するにつれ、自治都市や田舎の教区が徐々に新しいつながりを形成していく過程を描いている。
ロザモンド・ヴィンシりの生い立ちと教育
ロザモンド・ヴィンシィは、郡内有数の名門教育機関であるレモン夫人の学校の産物であり、そこで見習い生徒の模範という地位を獲得した。その教育は、馬車に乗り降りする洗練された技術をはじめ、若い淑女に期待されるあらゆる技量を網羅していた。レモン夫人は一貫してロザモンドを、知性の獲得、言動の端正さ、卓越した音楽の演奏の好例として称賛していた。ロザモンドは衣装に対する優れた審美眼を持ち、ニンフのような肢体と純粋な金髪という恵まれた資質によって、洗練された服装の選択肢を広げる幅を持っている。しかし語り手は、レモン夫人の賞賛が対象の価値を高めるどころか、かえって損なうかもしれないと指摘し、第一印象が学校のお墨付きよりも重要であると示唆している。
ヴィンシー家と出会うリドゲート
リドゲートの職業上の立場は、医療活動を通じて自然とヴィンシー家との接触をもたらす。その診療には、彼らの知人や顔馴染みの中に患者が含まれているためである。リドゲートがその診療所を引き継いだピーコック氏は、ヴィンシー夫人が彼の「低下療法」をよしとしなかったため、ヴィンシー家の医師を勤めてはいなかった。しかしながらリドゲートは、ブルストロード氏やフェザーストーン氏といった有力な患者たちとの関係を培い、彼らを通じて好意的な紹介を得ている。ヴィンシー家の主治医であるレンシュ氏は、早くからリドゲートの職業上の分別について低い評価を抱いており、若い外科医に関するさまざまな風評が、客人の絶えないヴィンシー家の邸宅の中で飛び交っている。
ビンシー家の朝食の場面
朝食の様子からは、ヴィンシー家の家庭内の力学が明らかになる。ヴィンシー氏と次男が倉庫へ出勤した後にも、家族の朝食の食べ残しがしばしばそのままテーブルの上に残されている。ロザモンドは刺繍のそばで時間を過ごし、時にためらいがちの倦怠感を漂わせながら、自分の作品を眺めている。居心地のよい家庭の情景には、レース繕いにいそしむヴィンシー夫人や、火の熱から逃れようとする家族のスパニエル犬が加わる。使用人のプリチャードは一家の世話を焼いているが、その中にはフレッド・ヴィンシーを呼びに行くという根気のいる仕事も含まれている。母親が何度も呼び寄せても、フレッドは朝なかなか姿を現そうとしないのが常である。
ティーティアス・リドゲート医師に関する議論
ヴィンシー夫人とロザモンドは、フレッドが朝食に遅れて現れたのを機に、新しい医者について彼と話し始める。フレッドはリドゲイトを「どちらかと言えば背が高くて、色黒で、賢い男だ。口は達者だが、少々気取り屋だね」と描写し、気取り屋とは自分の意見をひけらかしたがる人間のことだと説明する。ヴィンシー夫人は、リドゲイトの名前のテルティウスという響きは家名の伝統を示唆していると指摘し、郡との繋がりを持つ由緒ある家系の出だと聞いていると述べる。フレッドはプリムデール氏の家で催された夕食会でリドゲイトと会い、ホイストをともにしたことを話し、叔父のフェザーストン氏が答えを聞く際に顔をしかめながら質問を浴びせるという、いつもの癖を見せていたことを述べる。そして家族は、ジョンズ・カレッジで派手に金を使い込んだ裕福なリドゲイトという人物と、医者のリドゲイトがいとこのまたいとこにあたるという血縁関係について話を弾ませる。
フレッド・ビンシーとストーンコートに関する会話
会話はフレッド・ヴィンシーの前途と、ストーン・コートにいる叔父のフェザーストーン氏との関係へと移っていく。ヴィンシー夫人は、ロザモンドがもっと頻繁に叔父のもとを訪れないのはいかがなものかと心配し、フェザーストーン氏がフレッドにしたように、彼女にも何か恩恵を与えてくれるかもしれないとほのめかす。フェザーストーン氏の最初の妻は持参金を持ってこなかったのに対し、彼の妹は持参金を持参しており、そのため親類間の主張にも違いが生じたと夫人 は指摘する。ヴィンシー夫人はメアリー・ガス を、口元の地味な、てどちらかといえば女家庭教師の仕事に向いている娘だと批判的に評するが、フレッドは誰もがそう思うとは限らないと反論する。ロザモンドは、行先に興味がない と口では言いながら、フレッドがストーン・コートへ馬で出かけるのに自分も同道したい と望みを打ち明ける。やり取りは、乗馬の手配やフレッドの音楽への取り組みについての兄妹間の交渉へと発展し、ロザモンドはフレッドのフルート演奏を批判する一方、フレッドの野心は、息の詰まるような響きは否めないものの、ウェールズやスコットランドの民謡を熱心に演奏する姿に表れている。
第十二章。
フレッド・ヴィンシーとロザモンドは、風光明媚なロウィックの田園風景を抜けて、重厚な農場である石の中庭――病弱な叔父ピーター・ファーソンストーンの所有地へと馬車を走らせ、彼の地で会うのがはばかられるウォール夫人と出くわす。ウォール夫人は葬儀のような黄色い一頭立て馬車に乗ったファーソンストーンの姉妹の一人で、ヴィンシー家とその噂される金銭上の不品行についてファーソンストーンに警告しに来たのである。メアリー・ガスは咳き込む老人の世話をしながら、ウォール夫人がフレッドの賭博と噂される負債について曖昧な非難を浴びせるのを聞いており、その一方でファーソンストーンは特有の鋭利さで姉の懸念を一蹴し、自分の金と財産に関する意向をほのめかす。フレッドが到着した後、ファーソンストーンは厳格なブルストロドを発端とする噂――つまりフレッドが叔父の土地を相続する見込みを当て込んで金を借りているという噂――について彼を私的に問い詰め、財政的支援を提供する前に無実を証明する書面を要求する。共に残されたロザモンドとメアリーは会話を交わし、そこではロザモンドの夢のように淡い美しさと社会的野心と、メアリーの地味さ、健全な分別、そして冷笑的な自己認識とが対比され、宗教、見込み、そして満足の本質といった事柄に言及する。メアリー・ガスとロザモンド・ヴィンシーはミドルマーチの新参者リドゲイト氏について語り合い、ロザモンドは明白な関心を示すが、メアリーは淡白な態度を保ち、愛情は何かの親切なしには燃え立たないものだと主張する。彼女たちの会話はフレッド・ヴィンシーの話題に移り、聖職に就くことを拒絶し概して怠惰である彼に対して、メアリーが――彼がPoorな牧師になるだろうと認めつつも――自分に対してわざわざ気を遣ってくれる唯一の人であると、意外に断固たる擁護を行う。ファーソンストーンの元にリドゲイト氏が到着した後、ロザモンドは音楽の才能を披露する機会を捉えつつ、巧みに自分の社交的な印象を操作し、リドゲイトが落とした彼女の鞭を拾って渡した時、二人の視線が物語の言うところの重大な相互の印象をもって交わるが、その箇所はロザモンドがまさにこの結果を――彼女の恋愛の未来にとって必要な始まりとして――意図的に演出していたと注記している。その一方で、フレッドはファーソンストーンの要求、負債、そしてブルストロドとの間に立つ複雑な立場についての不安に心を奪われたまま帰宅の途につき、ついにはこの一件のすべてを父に告白することを決意する。
第12章
フレッド・ヴィンジとロザモンドは、風光明媚なローウィックの田舎道を馬車で進み、病身の叔父ピーター・フェザーストーンが所有する堂々とした農場ストーン・コートへと向かう。二人はそこで、フェザーストーンの姉妹の一人で、ヴィンジ家とそのうわさの金銭的不正について警告しに来た厳めしいウォール夫人が、葬儀用の黄色い一頭立て馬車に乗っているのに出会う。 メアリー・ガスは咳込む老人の看護をしながら、ウォール夫人がフレッドの賭博とうわさの負債について声を潜めて非難を浴びせるのを聞く。フェザーストーンは持ち前の抜け目のなさで妹の懸念を一蹴し、自分の金や財産に関する意向をほのめかす。 フレッドが到着した後、フェザーストーンは彼と二人になると、神聖ぶったブルストロードに由来する——フレッドが叔父の土地を相続する見込み当てで借金をしているとのうわさについて——潔白を証明する書面を要求し、それなしには一文の援助も与えないと迫る。 二人きりになったロザモンドとメアリーは、宗教、前途の見通し、満足の本質といった事柄に触れながら、ロザモンドの儚げな美貌と社交的な野心と、メアリーの地味さ、実用的な良識、そして冷笑的な自己認識とを対比させる会話を交わす。
ストーンコートへの乗馬
翌日朝、フレッドとロザモンド・ヴィンシーは二人でストーン・コートへと馬を走らせた。道中、彼らの行く手を牧歌的な中部の田園風景が迎え入れたが、こうした景色は、この地で育った人々にとって深い意味を帯びているのだった。
ミッドランドの風景
この景観は、美しい生け垣で区切られた牧草地や牧場で構成されている。どの畑にも、人目につかない池や、見事なオークの木、傾斜のあるマール(石灰質泥灰土)の採掘場、苔に覆われた趣のあるわらぶき小屋など、細部に独特の個性が備わっている。道そのものも立派なもので、ローウィックは泥だらけの道がある教区ではなく、整備された道と繁栄する借地農たちを抱える教区として知られている。
ストーンコートへの道
二マイルほど馬を進めると、彼らはロイック教区に入った。さらに一マイル先で、ストーン・コートが視界に現れた。館は建築の途中で頓挫したかのように見え、農家の建物が本格的な石造りの邸宅となる道を阻んでいるが、それでもなおジェントルマン・ファーマーの堂々たる住居ではあった。穀物の積み藁と胡桃の木が、館へのアプローチを両側から縁取っていた。
ウォール夫人の軽二輪馬車
正面玄関前の円形車道に、黄色い一頭立ての軽馬車が見えている。ロザモンドは叔父の「厄介な親戚」が来ているのではないかと不安を口にする。フレッドはそれをウォウル夫人の馬車だと見抜き、霊柩車よりもどこか葬列めいており、その持ち主はいつも黒クレープを纏っているのだと評する。
フレッドとロザモンドの会話
従兄弟たちはウォール家とフェザーストーン家のことについて話し合っており、その莫大な富と極度のケチぶりを指摘している。フレッドは、彼らが叔父の周りに「ハゲタカのように」うろついていると観察するが、フェザーストーンは彼ら全員を嫌っていると考えている。ロザモンドは、ウォール夫人は「貧乏ではない」と付け加えて、その外見にもかかわらず一家の富を認めている。
ウォール夫人の訪問
ウォウル夫人は、25年前にウォウル氏と結婚する以前はジェーン・フェザーストーンという名の女性で、兄のピーター・フェザーストーンのもとを訪れる。彼女は声を潜めた控えめな口調で話し、「彼らの好意にあずかるようなことはしたくない」と気持ちを述べる。彼女はヴィンシー夫人の一家の行状について心配を表明し、フレッド・ヴィンシーがビリヤードで賭け事をしており、借金を抱えているらしいといううわさについても触れる。
フェザーストーンとその姉
フェザーストーン氏は、頑固な咳に悩まされながら、妹の言葉に軽蔑的な調子で返答する。妹がフレッドが遺産相続を当て込んで金を工面しているのだとほのめかすと、彼は証拠を出せと迫り、その話を「でっち上げ」として一蹴する。続いて、姪たちは皆「色が黒くて醜い」のだから金など要るまいと、ウォール夫人をやり込める。そして、銀行券を「暖かい巣」としてしまっておくのだと謎めいた言葉を残し、彼女に別れを告げる。
フレッドに関する噂
ウォール夫人は兄のソロモンを通して、フレッド・ヴィンシーが老人の死後にフェザーストーンの土地を抵当に入れる約束で金を借りているといううわさがあると報告している。彼女はミドルマーチでの噂話には、フレッドが玉突きで何百ポンドもの負けを抱えているという話題も含まれると主張している。メアリー・ガスはそのようなゴシップを繰り返し語ることを拒み、「うわさ話を聞くのはひどく嫌い」と述べている。
ロザモンドの入室
ロザモンドはフェザーストーンの部屋に入る。乗馬服を優美にまとった姿で。彼女はウォール夫人にかたくるしく挨拶をし、咳の収まるのを待ってから、叔父がようやく彼女に気づく。フェザーストーンは感心したように彼女の血色の良さを指摘し、フレッドのことを訊ねる。
フェザーストーンとフレッドの面会
フレッドと二人きりになると、フェザーストンはフレッドを責めた――自分の土地を抵当に入れて借金を返済すると約束したではないか、と。フレッドはそのような形で金を借りた覚えはないと否定した。フェザーストンは文書による証拠を突きつけるよう要求し、ブルストロードが件の証人だと主張し、フレッドはブルストロードからこの話全体を否定する手紙を入手すべきだと迫った。
提案された取引
フェザーストンは条件付きの取引を持ちかける。すなわち、フレッドがブルストロードからの手紙を持ってくれば——その手紙には、ブルストロードが「フレッドがフェザーストンの土地に関わる借金を返済すると約束していたとは自分は思わない」と記されているはずだが——、老人はフレッドが今後どんな窮地に陥っても助けてやろうというのである。フレッドは板挟みの状態に陥る。そんな手紙をブルストロードに頼むことには、どうしても気が進まないのである。
フレッドの苦悩
フレッドは、ブルストロードに自分の考えを書面で確約するよう求めることの難しさを認識している。また、贈り物として銀行券や土地をほのめかすフェザーストーンを怒らせることにも気が進まない。フレッドはその状況に「行き詰まり」を感じ、プライドと財政的支援の見込みの間で板挟みになっている。
ロザモンドとメアリー・ガース
二人の女性は、個人的な会話をするためにメアリーの部屋へ引き下がる。二人は地方の同じ学校で子供時代からの知り合いである。ロザモンドの訪問には、この二人だけの密談がその目的のひとつとして含まれている。
化粧台の前の談笑
窓際の化粧台で、ロザモンドは帽子を脱ぎ、身だしなみを整えながら、二人は早口で話している。ロザモンドの美しさ——ブロンドの髪に深い青色の瞳、華奢な体つき——はメアリーの外見と著しい対照をなし、二人の異なる境遇を明らかにするようなやり取りへとつながる。
美貌と地味
ロザモンドの天使のような美しさとメアリーの地味さとの対比が掘り下げられる。ロザモンドはミドルマーチで最も優れた少女と見なされているが、メアリーには黒くて頑固な髪と、低い身長がある。メアリーは率直な物言いと機知に富んだユーモアを持ち合わせている。ロザモンドの傍で自分のことを「茶色い染み」のようだと冗談めかすと、ロザモンドは「美は実際にはほとんど重要ではない」と返答するが、その言葉も、彼女がしきりに鏡に映る自分の姿を見つめ続けていることによって説得力を失う。メアリーは自分の美しさについて皮肉げに返答し、ロザモンドが言っているのは自分の醜さのことだとほのめかす。
第十二章。
メアリー・ガスとロザモンド・ヴィンシーは、ミドルマーチに新しく赴任してきたライデゲート氏について話し合う。ロザモンドは明らかに彼に興味を示すが、メアリーは冷淡な態度を崩さず、愛情というものは何かしら優しさに火をつけてもらわなければ芽生えるものではないと主張する。二人の会話はフレッド・ヴィンシーの話題に移る。フレッドは聖職叙階を拒み、だらだらと总らむ日々を送っているが、メアリーは意外なほど強く彼を擁護し、自分が好意を示してくれる唯一の人だと述べる。もっとも、彼女自身もフレッドが牧師には不向きであろうことを認めている。ライデゲート氏がフェザーストーン氏の屋敷に到着すると、ロザモンドは好機とばかりに自らの音楽の才能を披露しつつ、巧みに自らの印象操作を行う。そしてライデゲートが落としていた彼女の鞭を届ける時、二人の目が合う。物語はこの瞬間こそが重大な相互の印象であったかのように描いているが、しかしロザモンドこそが、自らの恋愛の未来にとって不可欠な始まりとして、まさにこの結果を意図的に演出していたのだという点が文中では指摘されている。一方、フレッドは馬で帰路につきながら、フェザーストーンの要求、借金、そしてブルストロードに対する自分の複雑な立場への不安に心を奪われ、最終的には事の一切を父に告白することを決意する。
メアリーとロザモンド、リドゲート氏について語る
ロザモンドは、 Featherstone氏のもとを訪れているLydgate氏に対するメアリーの気持ちを聞き出そうとする。メアリーは彼に対して特に好意は抱いていないと認め、自分の愛情は何らかの優しさに火をつけられなければ芽生えないこと、そして自分を本当に見ているようにも思えない人の言葉には心を温められないと説明する。ロザモンドはさらに踏み込んで、彼の容姿や人柄について詳しくだそうと食い下がり、メアリーは次のように外見を述べる──濃い眉、暗い目、すっきりした鼻、濃い黒髪、大きく白い手、そして素晴らしい上等なカンブリックの手拭い。ロザモンドが高慢な物腰が好みだと口にすると、メアリーはからかうように、もし誰かが自分の好みの種類の自惚れを選べるのだとしたら、それはロザ蒙德だろうとほのめかす。
メアリーとロザモンド、フレッド・ヴィンシーをめぐって意見が分かれる
姉妹たちの会話はフレッド・ヴィンシーに移る。ロザモンドは、彼の怠惰と聖職に就くことを拒む態度から彼を「ひどい男」と非難し、これが父親を怒らせた。メアリーがフレッドを擁護したことにロザモンドは驚く。メアリーは、フレッドは牧師には向かず、強制的にその立場に置かれれば偽善者になるだろうと主張する。ロザモンドは、父親がフレッドの教育に投じた資金や、フレッドが遺産を一切受け取らないかもしれないという現実的な問題を指摘する。メアリーは意に介さず、いかなる教区であろうとフレッドを牧師にすることは許さないと譲らない。彼女は、ウォール夫人が叔父にフレッドのことを「とても落ち着きがない」と言い聞かせていることを打ち明ける。その言葉が、彼女の表向きの擁護とは裏腹に、メアリーの心を深く悩ませていた。ロザモンドが、メアリーのフレッド擁護は恋愛感情の表れではないかと示唆すると、姉妹の議論は次第に熱を帯び、メアリーは怒りを募らせながらそれを強く否定するのだった。
フェザーストーン邸でリドゲートとロザモンドが出会う
ライドゲート氏はフェザーストーン氏の家に遅れて到着する。そこではロザモンドが老人を楽しませようと「懐かしい我が家」を歌い、続いて「流れよ、光り輝く河よ」と歌っていた。フェザーストーン氏は得意げにロザモンドを自分の姪だと紹介する——マリー・ガスには一度も与えたことのなかった称号である。ロザモンドは叔父の下品な趣味を優美な威厳でもってあしらい、不適切な場面ではえくぼを押し殺し、マリーに優しく語りかける時にだけそれを見返す。ライドゲート氏はこの優美な振る舞いを観察し、ロザモンドの目に「愛らしいまでの優しさ」を見出す。ロザモンドが乗馬鞭を手に取ろうと身動きすると、ライドゲート氏は先を察してそれを拾い上げ、彼女に差し出す。二人の目が、物語が「霞の神秘的な晴れ上がり」と描写する、瞬時のごく自然なつながりにおいて交わる——二人をわずかに変えてしまう瞬間で、ライドゲート氏は青ざめ、ロザモンドは驚きのあまり頬を紅く染める。
ロザモンド、リドゲートとの未来を思い描く
ロザモンドは、この出会いが長年にわたって抱いてきた恋愛の願いの成就であることを認める。彼女はこれまで常に、ミドルマーチ出身ではなく、おそらく上流社会とつながりを持つ恋人であり花婿を中心として、自分の社交的な夢を描いてきた。今、彼女と見知らぬ人物が出会い、現実が彼女の予想をはるかにしのいで感動的であることが明らかになる。帰路の馬車の中で、彼女は結婚生活における衣装や紹介の場面を思い描き、すでにミドルマーチでの邸宅を選び始め、夫の高貴な親類への訪問を待ち遠しく思っている。そして彼らの洗練された作法を自らも身につけようと心に決める。彼女の空想は、金銭的な打算によって特徴づけられているのではなく、社会的な洗練と身分の上昇への願望によって特徴づけられている。つまり、金銭上の関心事ではなく、上流社会の体裁そのものを追い求めるものなのだ。
帰路でフレッドは自分の苦境を思い悩む
帰宅の途中、フレッドの心は悩みと気苦労に支配されていた。フェザーストン氏の要求から逃れる道は見当たらず、たとえ応じても、それに従わぬ場合の不愉快な結果を避ける術がないことを悟っている。父親はすでに彼に腹を立てており、バルストロード家とこれ以上事を構えれば事態が悪化するばかりである。フレッド自身の弱点がその不安に追い打ちをかける。苦々しく胸を刺す借金を抱え、フェザーストンからの遺産当てで大口を叩いてきた。そして、あの老人の財産についてうかつにもらした自分の愚かな言葉が、噂話によって尾鰭がついて伝わっているのではないかと恐れている。金持ちの守銭奴からの遺産を当て込んで得意げに振る舞いながら、証書をめぐってすがりつくという若者の役割を演じることに対し、彼は情けなくてならない。それでも、遺産への期待は消えうせず、それを捨てたところでほかに魅力ある選択肢があるわけでもない。こうした心配の連鎖が人間嫌いの苦々しさを生み出し、フレッドは自分の惨めな境遇をメインウォリングやヴァイヤンのような男たちの幸運とつい比べてしまうのだった。
フレッドとロザモンド、フレッドの状況とメアリーについて話し合う
彼らの歩みが緩むと、フレッドはムース夫人の言葉についてメアリーがロザモンドに何を話したのかと尋ねる。ロザモンドは、メアリーがフレッドについて「とても不安定だ」としか報告しなかったと確認する。フレッドがさらに詳しく追及すると、ロザモンドはメアリーの評価を気にしすぎる彼を諫め、メアリー自身がもしフレッドがプロポーズしても絶対に嫁がないとはっきり言い切っていたのだと釘を刺す。フレッドは、メアリーなら実際にプロポーズしてくるまでそう言わなかったかもしれないと口答えし、自分では認めまいとするものの、その告白が少なからず彼の感情を逆なでした様子がらかがえる。「僕が知る中で一番の娘だよ」とメアリーを譲らないフレッドに、ロザmondは彼女にうつつを抜かすなと警告する。帰宅する前に、フレッドはすべてをありのまま正直に父に打ち明けようと決意する。バルストロードに対処するという不快な件は、父にうまく処理してもらおうという算段だった。
第二部。
『第二部。』と題された作品の第14章は、1つのセクションを含む。
老いと若さ
このセクションでは、世代観に関連したテーマを探り、年配の登場人物や視点と若い登場人物や視点の対比と相互作用を考察する。
第13章。
この章は、表面的な見かけによって分類すべきか、それとも真の価値によって分類すべきか、人と本の分類方法について語り合う二人の紳士の詩的な対話で幕を開ける。そしてこの章では、ヴィンシー氏が息子のフレッドとフェザーストーン氏の問題についてブルストロード氏と話そうとする決意を描きながら、同時に新しく到着したリドゲート医師とブルストロード氏が病院の改革について会談する様子も詳しく描写している。
人間と本の分類
この章は、二人の紳士が人間と書をどのように分類すべきかについて論じ合う場面から始まる。彼らは人を「大多数よりも優れている」と評すべきか、それとも「その外套の下に潜む劣った者」と評すべきかと問いかけ、聖人と悪党、巡礼者と偽善者を対比させる。同様に、書物についても、羊皮紙、大型本、安物の子牛皮装丁といった単なる物理的特徴だけで分類すべきかを論じ、そのような外面的な分類では、読まれぬ著者を整理するために工夫を凝らしたあらゆる分類法よりも多くの多様性を覆い尽くすことはできないと指摘する。この対話から浮かび上がるのは、真の分類には、判定対象の本質や真価を理解するため、表面的な外観の向こう側を見つめることが求められるということである。
ビンシーの決意
ヴィンシー氏はある事情について息子のフレッドと老フェザーストーン氏の件を相談するため、銀行でブルストロード氏を訪ねることにした。フェザーストーンのところへフレッドの悪口を吹き込み、フレッドに対する感情を悪化させようとしている者がいると、ヴィンシー氏は聞き及んでいた。フェザーストーンはフレッドを寵愛しており、自分の土地をフレッドに残すとほぼ約束していたため、他の人々がそれを妬んでいたのである。ヴィンシー氏はブルストロード氏にフレッドの汚名を晴らすのを手伝ってほしく、他の来客がいない時間帯を見計らって、午後一時半に訪問することにした。ところが、その時すでにブルストロード氏のもとにはリドゲイトが来ており、ヴィンシー氏は待たなければならなかった。
ブルストロードの性格
この章ではブルストロード氏の人物像が丹念に描かれている。彼は青白いブロンドの肌色をし、薄い茶色の髪には灰色がまじり、目は淡い灰色で、額は広かった。その物腰には、話を聞く際にへりくだって身を屈めるような姿勢や、目にこもった一種の固定した注意深さがあり、そのおかげで、自分自身の言葉に聞く価値があると感じる人々は、彼が自分たちの話から何ものにも増して有益なものを引き出そうとしていると感ずるのだった。また一方で、こうした詮索するような視線を不快に思う者もあり、それを、まるで客がワイングラスを手に取って透かして眺めるようなものだとたとえる者もいた。彼の声は低く抑えられており、大声で話す人の中には、これは率直さとは相いれないものだとほのめかす者もいる。ミドルマーチの住人たちは、彼がことさらに注意を払うその様子を、パリサイ派的な偽善のためか、あるいは福音主義的な信仰心のせいだと言い、また、より思慮深い観察者たちは、ほんの二十五年前にはミドルマーチにはブルストロードという名の一族など誰も聞いたことがなかったと指摘している。リドゲートは彼を間近に見て、その体質を好ましく思わず、彼には目に見えるものを楽しむことのない、切迫した内面生活が営まれているのだと結論づける。
病院改革
ブルストロード氏は、自分が有能な協力者になってくれることを願っているリドゲート医師と、病院の経営について語り合う。ブルストロードはほぼ完成した新しい病院について触れるが、その病院にはメドリコット卿が土地と木材を提供してくれたのだと言う。リドゲートは地方都市における医療改革の構想を説明し、熱病専門の病院が医学教育の中心的存在になり得ると主張する。公共の精神に富んだ地方に生きる人間は、優れたものがすべてロンドンへと吸い込まれていく流れに歯止めをかけるべきであり、確乎たる職業上の志はむしろ地方においてこそ、より自由な活躍の場を見出せるのだというのが彼の信念である。ブルストロードは、自らの新しい病院の監督をリドゲートに委ねることを約束し、リドゲートの到来を、自らの事業に対する神の恵みの「優しくも明らかな御印」と受け止める。さらに彼は、改革者として自らを位置づける以上、同業仲間からの妬みや反感を買うことは避けられないと心得よ、とリドゲートを戒め励ます。対するリドゲートは、より良い手法のために戦いの場に臨むことへの喜びを口にし、必ずや改良の道筋を見出してそれを実行に移すことができる、という確信を披歴する。
霊的関心
ブルストロードは「霊的関心」という話題を提起し、患者の中にそうした関心事が存在することを認めるかどうかリドゲートに問いかける。リドゲートはそれに同意しつつも、「こうした言葉は人によって異なる意味を覆い隠しがちだ」と指摘する。ブルストロードは、霊的な事柄に関する誤った教えは、まったく教えを施さないのと同様に致命的であると懸念を表明し、さらに物議を醸しそうな話題を切り出そうとする。この会話は、ブルストロードのより深い宗教的動機と、単なる医療上の福祉だけでなく霊的な福祉にも取り組もうとする意図を明らかにするための、場面の転換点として機能している。
チャプレン論争
ブルストロードは、古い施療院における聖職者の出勤に関する新しい規則を切望していることを打ち明ける。この施療院はフェアブラザー氏の教区に位置している。彼は、フェアブラザーの出勤を廃止し、ティック氏をチャプレンとして任命することで代行させ、他のいかなる霊的な助力も求めないことを望んでいる。リドゲートがフェアブラザーのことを尋ねると、ブルストロードは、偉大な才能の持ち主であるにもかかわらず、彼を「深く憂慮すべき人物」と評する。ミドルマーチに来て間もないリドゲートは、フェアブラザーに投票してもらったという縁があるくらいで、まだ彼をほんの少ししか見ておらず、自然研究者のように見える程度だった。リドゲートは、この施策の是非には踏み込まないと断る。意見を述べるには個々の症例を把握する必要があると言うのである。ブルストロードは、これから始まる協力関係において、この問題で自分への反対派に影響されないでほしいとリドゲートに頼む。リドゲートは、自分が選んだのは自分の職業で立派に仕事をこなす道であり、聖職者間の争いには一切かかわらないつもりだと答える。
フレッドをめぐる対立
リドゲートが立ち去ると、ヴィンシー氏がフレッドのことでブルストロードに話があるとやって来る。ブルストロードは早速、長男に関するヴィンシーのこれまでの判断を非難し、フレッドの現在の状況の責任を一身に彼に負わせる。彼は「俗世の虚栄心」からフレッドを聖職者の道に進めようとしたのだとヴィンシーを責め、三人の息子と四人の娘を抱える家族に対して、ヴィンシーが贅沢な教育に金を投じる根拠はなかったと言う。その教育が産み出したのは「浪費と总惰の習慣」だけだと。ヴィンシーは、すべてを見通すことなどできなかったと反論する。自分の兄弟は聖職者につき、順調にやっていたが、胃熱で亡くなったのだと。哀れな兄は教会の首席司祭になっていたかもしれなかったと彼は感じている。ヴィンシーは家族を上昇させようとしたのは正当だったと主張し、「息子たちに良い機会を与えるのは父親の務めだ」と言い張る。ブルストロードはヴィンシーの言い分を「俗世間への執着と矛盾だらけの愚かさの塊」だと一蹴する。
手紙をめぐる論争
ヴィンシーが本当の問題を説明している。誰かがブルストロードを権威ある人物として利用し、フレッドが土地の相続を見越して金を借りている、あるいは借りようとしていると、年老いたフェザーストーンに吹き込んだのだ。フェザーストーンは、フレッドに対し、ブルストロードの筆跡による弁明書——つまりブルストロードがそのような馬鹿げた噂を信じていないと記した書状——を持ち出してくるよう強要している。ヴィンシーは、フレッドが自分の名誉にかけて決してそのような口実で金を借りたことはないと断言しており、「彼は嘘つきではない」と力説している。ヴィンシーの主張は、ブルストロードの信仰上の信条をもってしても、相手の悪事を知らない限り、若者の善良な面を信じることに支障を来すべきではないというものである。ブルストロードはこれに答え、フレッドが将来の有望性を見せかけて金を調達しようとしなかったとは「決して確信が持てない」と反論し、曖昧な見込みだけに基づいて彼に資金を提供した者がいても不思議ではない、十分に「愚か」な人物がいたのかもしれないと示唆する。さらに彼は、フェザーストーンの財産への道を開いてやる形でフレッドと懇意になることが本当に祝福となるのかどうか疑問を呈し、富をこの世だけのための収穫として用いる者に、富が本当に有益なのかと問いかける。
手紙執筆の拒絶
バルストロードは、ヴィンシーが依頼する手紙を書くことを断固として拒否し、「そのような財産処分を後押しする動機は一切ない」と言い切る。フレッドの永遠の救いにも神の栄光にもならないと主張し、その唯一の目的が「愚かな偏愛を維持し、愚かな遺贈を確保するため」にすぎないのに、なぜヴィンシーが自分にそのような宣誓供述書を書くよう求めるのかと問い返す。 これに対しヴィンシーは怒りを爆発させ、バルストロード自身の商売のやり方を指摘し、プリムデールの店で使用されているブラッシング製造所の染料が「絹を駄目にしてしまう」ことを持ち出す。もし人々が、どれほどの利益が神の栄光のために流れているかを知れば、むしろそれを高く評価するのではないかと皮肉を言う。ヴィンシーは、バルストロードが支配者になりたがり、「天国での第一人者」を気取り、「卑劣な、ぬすみ聞き式の見栄」で振る舞っていると非難する。そして、「どこにいようと主教と銀行役を兼ねたがるこうした横暴な精神」こそが、バルストロードの評判を「臭くさせている」と警告する。
反省の約束
バルストロードは、ヴィンシーのますます激しくなる非難に答える前によどむ。彼はヴィンシーの言葉が自分の心を痛ませていることを認め、ヴィンシーが自分の行動の根拠を理解できないことに不満を表明し、「世界の複雑な事情の中で原則のために道を切り開くのは難しい」ものだと述べる。バルストロードは、ハリエットの兄として最大限の寛容を示しているのは自分であることをヴィンシーに思い起こさせ、彼の家の世俗的地位に対する援助を差し控えることへの不満をヴィンシーが言うのは筋が通らないと指摘する。そして、ヴィンシーが自分の商いを維持できたのはヴィンシー自身の分別のおかげではないと述べる。ヴィンシーは反論し、バルストロードも彼の商いによって損はしていないはずであり、もしバルストロードが自分の一族が没落することを望むなら、そう言うべきだと主張する。この章は、バルストロードが「少し考え」てハリエットにその件を話すと述べ、おそらくヴィンシー宛に手紙を送ると約束する場面で幕を閉じる。この場面は、バルストロードの訓戒がしばしば満足のいく結末を迎えずに終わること、そしてこのような議論がどう結着するかという経験にもかかわらず、彼の崇高な道徳の泉が「抑えがたい」ままであることを示している。
第14章。
この章はまず、怠惰をテーマにした風刺詩で幕を開ける。その詩は、怠惰を「殴打」「お世辞」「自画自賛のうそ」で調味して「死者の靴」に盛られる「ソース(調味料)」にたとえている。続いてこの章は、ブルストロド氏から叔父のフェザーストーン氏宛ての手紙を届けにいくフレッド・ヴィンシーを描く。フェザーストーン氏は寒さのため床に伏している。
怠惰のレシピ
この章は風刺的な詩から始まり、怠惰の「ソース(調味料)」を描写している。それは「殴打」「お世辞」「自画自賛の嘘」を材料として調理され、「死人の靴」に盛りつけられて供される。これにより、怠惰と他人への依存というこの章の主題的な懸念が設定される。
ブルストロード氏の手紙
翌朝早く、ブルストロード氏からフレッドあてに手紙が届く。それはフレッドの借金に関する噂の証明としてフェザーストーン氏に届ける必要があるものだ