読書メモ:少年少女本棚 第1巻
書籍概要
この選集は、20世紀初頭の児童文学の伝統に根ざした、幼い読者を楽しませ、教え導き、癒すことを目的に編纂された詩と散文のアンソロジーです。収録内容は、わらべ歌、積み重ね話、童話、穏やかな道徳物語を通じて、人格形成を重視する構成となっています。
主要テーマと内容分野
古典的な童謡から学ぶキャラクターの教訓
この詩集は、なじみ深いキャラクターから知恵を引き出す内省的な詩で始まります。特に注目すべきなのがハンプティ・ダンプティの連作で、自身の能力に合わない事柄に挑戦することの限界とその結果について考察しています。落下の「突然の転落」と「恐ろしい驚き」は、最も安全な選択肢として「控えめな地位」を選ぶことに関する警告的な示唆へと変わります。このセクションにはまた、忍耐と報酬に関する詩が含まれており、低い地位に満足して留まる人たちはいずれ高い地位へと昇っていくことを示唆しています。
童謡のパロディと古典的な物語
第5章では、ハートの女王(菓子を盗んだこととその後の罰が貪欲の循環を表している)、コール老王、そして日常のささいな失敗についての様々な短い歌など、なじみ深い童謡の遊び心のある再解釈を紹介しています。**「One Misty Moisty Morning」**での出会いは、礼儀正しい田舎の交流と現代の都市生活の混沌とを対比させています。
累積民話
この詩集の大部分は累積民話で構成されており、1節ごとに新しいキャラクターと行動を追加することで物語を構築するものです。例を挙げると:
- ジャックの家(およびその姉妹編である『ジルの家』)
- 老婆と豚(豚が柵を越えられるようにするための交換の連鎖によって解決する話)
- 猫とネズミ(再帰的な要求によってネズミのしっぽが返される話)
- ヘニー・ペニー(キツネを敵役とした「空が落ちてくる」という話)
- 梨の木の歌(果樹園から子どもへと順に降っていき、その後逆順になる話)
これらの民話は、繰り返しによって拡大していく構造が、子どもたちが物語を暗記するのを助けながら、徐々に複雑化させることで注意を引き続けるという教育的価値を示しています。
童話とファンタジー物語
第VIII章には、伝統的およびオリジナルの童話が豊富に収録されています:
- 親指姫:魔法の大麦の実から生まれた親指ほどの乙女が、カエルに誘拐されたり、野ネズミの住処に匿われたり、モグラに望まない結婚を迫られたりするが、最終的にツバメに救われて花の精の女王となる。
- 赤ずきん:オオカミの騙しと木こりの的確な救助に焦点を当てて再話されたもの。
- コック・アルーとヘン・アリー:自慢屋の雄鶏の空虚な約束が、謙虚な雌鶏の静かな献身と成功と対比する寓話。
- ティーニー・タイニー:戸棚から自分の骨を返せという声に怯える小さな女の人を描いた古典的なミニチュア物語。
動物の物語と教訓
いくつかの物語は、動物を主人公にして実践的な教訓を伝えています:
- 鳴き方を忘れた子猫:吠える犬に圧倒された子猫は、自分の鳴き声を忘れてしまうが、賢い灰色の猫がそれを取り戻させてくれる。
- 靴屋と小さなエルフ:貧しい靴職人が夜な夜なエルフの助けを受け、そのエルフたちに小さな服を報酬として与える。
- ジンジャーブレッド・ボーイ:自慢屋の焼き菓子であるジンジャーブレッド・ボーイは、全ての追手から逃げおおせるが、最後にはキツネに食べられてしまう。
- 小さなピンクのブタと大きな道:母親の忠告を無視したブタが、世の中の危険を学ぶ物語。
- 農夫にはどうすることもできたのか?:農夫が手出しできなくなった時、動物たちが暴れ回る様子を描いた滑稽な累積詩。
子どものころの経験を描いた物語
この収集には、幼い日々のリアルな物語が収録されています:
- モリーのパーティー:忘れっぽい少女が時間の前後を混同し(「3時の5分後」を「5時の3分後」と取り違える)、自分へのサプライズパーティーに遅刻してしまう。
- エディスのティーパーティー:「Tuesday(火曜日)」と「Thursday(木曜日)」のスペルが似ているために起こった勘違いが、友だちの到着を遅らせる。
- ドリスは賢くお金を使うことを学ぶ:少女は最初の1ドルを期待外れの買い物で無駄にするが、2ドル目は火事で傷んだ本を手にしたり、悲しんでいる少年に思いやりのある贈り物をしたりすることで、お金の価値を活かす使い方を学ぶ。
- ダッチ・トリート:ニューヨーク育ちの少女がオランダを訪れた際にホームシックと傲慢さを乗り越え、優しいオランダ人女性に堤防の崩落から救われるまでを描いた物語。
- コンスタンティノープル出身のいとこの7歳の誕生日:おたふくかぜで隔離された誕生日を、ひもを使った独創的なプレゼント配送システムによって楽しいものに変える物語。
家族を称える詩
詩の大部分は、母親や親族を称える作品が収められている:
- 『少年の母』(ジェームズ・ウィットコム・ライリー):子どもの行動にかかわらず、母の愛を称える作品。
- 『母』(ローズ・ファイルマン):朝は遊び心あふれ、お茶の時間は明るく、寝かしつけの時間は物語を語る、3つの場面での母を描く。
- 『最高の母』:子どもが疲れている母を公然と「今までで一番の最高の母」と称える作品。
- 『祖母の思い出』:老婦人が父の農場で過ごした幼少期の光景を回想する作品。
- 『大叔母ルーシー・リー』:子どもが大叔母のきちんとした優雅さに憧れ、見習いたいと思う作品。
アルファベットと健康教育
本書の最後には、学習を目的とした楽しいアルファベット教材が収められている:
- 『ティングル・タングル・チチドリ』:文字を学ぶのを拒む動物たちにおやつを差し出し、少年がブーツと拍車を欲しがって喜んで承諾する、説得めいた詩。
- 『ナンセンス・アルファベット』と『Aはアーチャー』:文字と奇想天外なキャラクターを組み合わせた古典的なアルファベットの韻詩。
- 『アップルパイ』:1つのパイに起こるアルファベット順の行動の連なり。
- 『子どもの健康アルファベット』:各文字に健康的な食べ物や習慣(Aは空気、Bは入浴など)を組み合わせた実用的な健康の授業で、Zは人生への熱意で締めくくられる。
冒険と想像的な遊び
物語は子どもの想像力と屋外での冒険を称える内容になっている:
- 『ゴードンのおとぎの城』:少年がミニチュアの城、兵隊、そして絨毯の丘の上のビー玉を使った手の込んだ遊びを作り出す話。
- 『ゲイとスパイ』:少女と犬が森を探検し、鳥やリスに出会いながら、衝動を穏やかに抑える規律を学ぶ話。
- 『逃げ出したロバ』:バーニーは何度も逃げるが、揺れる門で自分を閉じ込めてしまい、家に連れ戻されるのを嫌がるが、「いい子になっていた方が楽だ」と決心する話。
- 『小さなウサギと風のボール』:小さなウサギが転がる種のボールを追いかけて危険な目に遭い、最後にひりを返して家に帰る話。
民話と寓話
伝承の知恵話としては、『ウサギとハリネズミ』(ハリネズミの妻が夫に成りすまして誇り高いウサギを疲れさせる、賢い競走の話)、『小さなコマドリのクリスマスの歌』(鳥が危険な誘惑を拒んで王様のところまで無事に旅する話)、『クモとハエ』(虚栄心とお世辞についての教訓話)がある。
この作品集は20世紀初頭の子どもたちのための包括的な人格形成の教材として機能し、詩・積み重ね式の語り・道徳的な寓話を用いて娯楽と教育を融合させており、今日の幼い読者にも通用する内容となっている。